「好きな食べ物はおかし。」
この言葉だけが思い出となって残っているあの人がある日突然お星さまになってしまって30年。
その人、なんかファインダー越しに見た容姿というか雰囲気がちょっと他のコとは違ってて。それは写真をやってる人しかピンとこない話なんだけど。
(わかるかな、写真やってる人じゃないとわかんないだろうな、、、)
それを思い出のまましまい込んでしまって、記憶の片隅に追いやってしまって30年という月日が過ぎてしまった。
昨年の冬。
そのお星さまになってしまった人の親族の方から、人づてに30年目の区切りの会をやりたいというお話が舞い込んできた。
何某かの心の中にあいた穴を少しでも埋められないかな、となんか本能みたいなのが心の中で動いてしまった。
そんなチャンスが幸運にもめぐってきて。会ったことが3回しかない人の思い出を再確認して、そして出来るだけの知りたいことは知っておきたい。そして区切りにしよう。
最初で最後のチャンスだと思って行く事を(心の中では)即決めてしまっていた。
そして。
そのお誘いの中に「そのお星さまになった我が子のある期間の写真がないのであれば見せてくれないか」という話があって。どうしてもある期間の写真だけ穴が空いたようになっていて、我が子の思い出が繋がらないのだという。
で、親御さんの人生最後のヘルプなのかなとも思って。そしてその穴を埋める写真が偶然にも自分の手元にあったりする。綺麗に捨てずにその辺の写真は残してある。
なんか奇遇と言いますかナントカの細い糸というか、そんなの。
その話は写真を嗜みにしている自分にとっては理にかなったりというかなんといいますか。昔からの趣味で撮ったネガポジ類はきちんと整理してすぐ呼び出せる形にはしてあり、年老いた親御さんの希望には少しは応えられるだろう、という話もあってね。
自分写真やっていてこういうケースは初めて。ひょっとしたら趣味でこんなことは最初で最後なのかもしれない。このリクエストはぜひ成功させてみたい、そんな気持ちにならずにはいられなかったのよね。
だれでも人生の後半になると「あの時の記憶とかそんなのを一度は振り返ったり再確認したり、埋まらない記憶とか記録の穴を埋めてみたいと思ったりするもので。
リクエストと本番当日までの期間は3か月。仕事や実生活の合間を縫って過去の記憶と繋がらない何かを繋ぐアクションが始まったのでした。90年代の半ばのお話を21世紀になって繋げてみようじゃないか、写真の力を見せてあげましょうプロジェクトのスタートであります。
つづく。
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